天疱瘡(てんぽうそう)とは?

天疱瘡について解説しております。

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 皮膚と皮膚付属器の病気ナビでは、皮膚と皮膚付属器の病気ナビでは、表皮、真皮、皮下組織の三層から構成された皮膚の仕組みと働きや、皮膚付属器(毛包、脂腺、アポクリン腺、エクリン腺、爪)の仕組みと働きについてそれぞれ解説しております。また、皮膚の病気や皮膚付属器の病気についても、その概要や原因、症状、治療などを中心に、要点を整理してまとめております。


天疱瘡(てんぽうそう)とは?
〜皮膚の病気〜

皮膚(表皮、真皮、皮下組織)、皮膚付属器(毛包、脂腺、アポクリン腺、エクリン腺、爪)

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天疱瘡とは?
 天疱瘡とは、皮膚の表皮あるいは口腔内の粘膜の上皮にある成分を攻撃する抗体が自分自身の体内で作られてしまい、その結果、全身の皮膚や粘膜に、大小さまざまな大きさの水疱(すいほう → 水ぶくれ)やびらん(ただれ)がたくさんできるという病気で、40〜60歳代、特に40歳代に多くみられます。
天疱瘡は、自己免疫性水疱症といって、免疫の異常によって起こる病気で、人へ感染する病気ではありません。
自己免疫性水疱症は、天疱瘡群と類天疱瘡群に大別できます。
人は、細菌やウィルスなどの外敵から守るために、体内に入った異物を認識し排除する免疫といわれる仕組みを備えています。
ところが、この免疫系が、体内の正常な細胞や組織に対してまで、過剰に反応し攻撃してしまうことがあります。
その結果、いろいろな病気が引き起こされます。
このような病気を総称して自己免疫性疾患といいます。
なお、自分自身の細胞を攻撃する抗体のことを自己抗体といいます。
水疱症は、皮膚に水疱やびらんができる病気で、ウィルス性のものや、細菌性疾患、やけどなどの物理的刺激による水疱は除外されます。
病気を引き起こす原因により、自己免疫性のものと先天性(遺伝子の異常)のものに分けられます。

【原 因】
天疱瘡は、皮膚の細胞と細胞を接着する鎖のような役割をするデスモグレイン(細胞間接着因子)とよばれる成分を攻撃する抗体(自己抗体)が体内でつくられることで起こります。
但し、この抗体がつくられる詳しい原因は明らかになっていません。

【症 状】
天疱瘡では、やけどのような水ぶくれやびらんといった症状があらわれます。
なお、この天疱瘡(天疱瘡群)には、尋常性天疱瘡や落葉状天疱瘡などとよばれるものがあります。
このうち、尋常性天疱瘡は、天疱瘡の中では最も多くみられるもので、全身に発赤や水疱がたくさんあらわれます。
また、口腔内の粘膜もおかされ、びらんや痛みが起こります。
さらに、皮膚の表面から大量の水分が失われたり、感染を引き起こすこともあります。
一方、落葉状天疱瘡でも、全身に水疱(小水疱)とびらんができますが、口腔内の粘膜はおかされません。
天疱瘡としてみられるものでは、尋常性天疱瘡が最も多く、次いで落葉状天疱瘡で、ほかに紅斑性天疱瘡(落葉状天疱瘡の亜型)、増殖性天疱瘡(尋常性天疱瘡の亜型)などがあります。
天疱瘡でみられる水疱(弛緩性水疱)は、水疱膜が薄く、すぐに破れてびらん面となるのに対し、類天疱瘡でみられるもの(緊満性水疱)は、水疱膜が厚く、破れにくいという特徴があります。
弛緩性水疱は、表皮など比較的浅いところにできるもので、水疱膜が薄く破れやすい水疱です。
緊満性水疱は、表皮と真皮の間あるいは真皮など比較的深いところにできるもので、水疱膜が厚く破れにくい水疱です。

【診 断】
天疱瘡の診断は、視診、血液検査、組織検査により行われます。
特に組織検査は、診断を確定するために不可欠です。
また、血液検査では、自己抗体(血中)があることを検出します。

【治 療】
天疱瘡の治療には、主にステロイドの内服治療が行われます。
病気の勢いが治まれば、ステロイドの量を少しずつ減らします。
なお、ステロイド剤による副作用を考慮して、定期的に尿検査や血液検査が行われます。
天疱瘡の治療において、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン剤)は、死亡率を劇的に改善させた薬ですが、今でも死亡率が0%でないため、この天疱瘡は油断できない病気といえます。

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